宮古沖陸自ヘリの捜索「地形で難航」と海幕長 サンゴ岩礁でソナー識別に時間 広範囲の探知進まず


この記事を書いた人 琉球新報社
記者会見で捜索状況について語る酒井良海上幕僚長=11日午後、防衛省

 陸上自衛隊のヘリコプターが6日に宮古島市沖で消息を絶った事故で、酒井良海上幕僚長は11日の記者会見で、捜索が難航している要因について「ソナー(水中音波探知機)を使った捜索で(沈んでいる)機体なのか、サンゴの岩礁なのか見分けが付かない」と明らかにした。自衛隊や海上保安庁は11日も捜索活動を続けたが、搭乗していた10人の行方や有力な手がかりは見つかっていない。

 酒井海幕長は「砂地であれば仮に機体が沈んでいた場合、凸凹があるので探知が容易だ」とする一方、宮古島市周辺の海域はサンゴによる複雑な地形で識別が難しいとした。ソナーで凹凸を見つけるたびに水中カメラを備えた無人機を投入して画像で確認する必要があるという。こうした作業に時間がかかり、広範囲で捜索することが難しいと説明した。

 潮の流れが速かったり、変わりやすかったりすることも「現場のオペレーションを複雑にしている一つの要因だ」と述べた。

 自衛隊は11日から、夜間は航空機による捜索をやめた。必要に応じて飛行できるよう夜間も待機し、日中は航空機6機態勢を維持する。10日には約370人だった陸上での捜索部隊は約270人となった。艦艇3隻態勢は変わっていない。

 海上保安庁は10日に引き続き巡視船2隻で捜索を続けた。県警は新たに警備艇1艇を出し、事故機が消息不明になった海域付近で浮遊物などを探した。

 10日に続き、伊良部漁協所属の漁場者らは船13隻で捜索した。伊良部島やその周辺では、自衛隊や海保、県警の職員が浜辺や海岸を目視で確認に回る姿も見られた。(明真南斗、友寄開)