ハワイの沖縄料理店「サンライズレストラン」に世界中から寄付 苦境乗り越えウチナーの絆 1日で目標額に


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クラウドファンディングで窮地を乗り越えたサンライズレストランの玉寄朝勝オーナー(左)と妻の朋子さん=米ハワイ・ホノルル市

 米ハワイに住むウチナーンチュの玉寄朝勝(ちょうかつ)さん(68)と妻朋子さん(57)が、ハワイホノルル市で営む「サンライズレストラン」。座席数30席ほどの小さな沖縄レストランが、クラウドファンディング(CF)でコロナ禍の窮地を乗り越えたストーリーが、話題を呼んでいる。

 朝勝さんは1970年、伯母に連れられてハワイに移り住んだ。当時はハワイで日本食を作る調理師が少なかったことから、すし職人として精を出していた。

 ハワイ移民100周年の際、沖縄の催しが多く紹介されているのを現地の新聞で見かけた朝勝さんは「沖縄料理を出さなくては」と思い立った。

 沖縄料理屋の経営経験のある伯母の力も借りて1999年、沖縄料理を中心としたサンライズレストランを開店、沖縄そばやソーキ汁などを提供した。朝勝さんの得意な三線の演奏も人気を呼んだ。2001年のNHK連続テレビ小説「ちゅらさん」放映、安室奈美恵さんの活躍といった沖縄ブームが重なり、レストランは大盛況となった。

 20年3月、コロナ禍で客が減り収入が4分の1ほどに落ち込んだ。もともとは店内での飲食を前提にしていたが、新たにテイクアウトを始めた。特に現地のウチナーンチュの助けを受けて、なんとか経営を継続できた。

 しかし、物価高騰や必要機材の故障などが重なり、経営は厳しさを増した。22年4月、店の契約更新費が払えず、朝勝さんは朋子さんに「5月に店を閉める」と告げた。衝撃を受けた朋子さんがIT関係に詳しい友人に相談したところ、CFを勧められた。

 契約更新のために必要な1万5千ドル(約190万円)を目標額とし、CFのサイトを立ちあげた。すると、交流サイト(SNS)などの口コミが世界中のウチナーンチュなどに広がり、1日で目標額に達した。

 ニューヨークから一度店を訪れたという人からの5千ドルの寄付や、お年寄りが孫に連れられて店を訪れ「私が生きている間はお店を続けてくれ」と小切手を渡したこともあった。

 今後の経営に必要な資金などを考慮し、1週間サイトを開けていたところ、約7万ドル(約900万円)が集まった。当初、朋子さんからCFのことを知らされていなかった朝勝さんは「他人(ひと)様の助けを乞うなんて恥ずかしい」と激怒していたが、世界中の人からの応援メッセージに感銘を受け「非常にありがたいことだ。自分だけのお店ではないんだと実感した」と語る。

 ハワイのウチナーンチュに愛されるサンライズレストランは今日も、三線の音色とともに、アチコーコー(熱々)の料理を提供し元気に営業を続けている。 (與那覇智早)