米軍人との交際トラブル相談、年400件 基地の内外で異なる制度や慣習… 窓口設置で見えた成果と課題 北谷町での女性殺害事件から4年


この記事を書いた人 琉球新報社

 【中部】沖縄県北谷町で発生した米兵による女性殺害事件から、13日で4年がたつ。沖縄県は事件をきっかけに2021年1月、米軍人・軍属との家庭問題や交際トラブルを抱えた女性の相談窓口「国際家事福祉相談所」を、沖縄本島中部の役場に設置した。おきなわ女性財団が運営し、類似する相談を受ける「てぃるる相談室」と合わせ21、22年度の相談は、それぞれ年間延べ400件を超えている。窓口の認知が広がるものの、基地内の事情に精通した支援員の育成は難しく、持続的な支援が課題となっている。

 国際家事福祉相談所に寄せられるのは子の認知や養育費、離婚の相談が多いが、家庭内暴力なども絡み、極めて複合的という。県は同相談所に支援員を2人配置している。しかし、多国間を異動する米軍人らの勤務形態や、基地内の制度など高い専門知識が問われるため実質機能しておらず、現在は相談所の番号も公表していない。問い合わせや来所があれば、アドバイザーで国際家事相談支援「ウーマンズプライド」を運営するスミス美咲代表につないでいる。スミスさんがウーマンズプライドの相談支援を掛け持ちしながら対応している。

 県青少年・子ども家庭課の担当者は「基地の慣習など、支援員では相談者の背景をイメージできないことが多い。アドバイザーに頼り切りで、支援員の育成が課題だ」と話す。一方、スミスさんは支援員が数年で入れ替わることに触れ、「国際家事は高い専門性と迅速な対応が求められる。日米の文化も知る必要があり、2、3年で習得できるものではない」と人材確保の厳しさを明かす。

 「てぃるる相談室」の「女性相談」回線は、女性が抱えるトラブルや悩みの相談を受け付けている。その中で外国人との家庭問題や交際トラブルについての相談ニーズが高かったことから、20年4月、「てぃるる相談室」に新たに「国際女性相談」専用回線が設置された。多い日で1日20件の相談が寄せられている。(石井恵理菜)