高い出生率に支えられて人口増加を続けてきた沖縄といえども、少子高齢化は着々と進んでおり、人口減少に転じるのは既定路線だった。全国の過疎地域と同様に、沖縄もこれから本格的な人口減社会に突入する見込みだ。島しょ性特有の課題に直面する可能性もある中、行政だけでは対応できないのは目に見えている。特に小規模離島などでの人口減の地域では、さまざまなサービスへの影響が懸念される。
女性1人が生涯に産む子どもの人数を示す合計特殊出生率は、2020年でも沖縄は1・83人で、全国平均の1・33人よりも0・5ポイント高かった。沖縄は全国に比して若年層の人口が多く、高齢化が遅れていたと言える。
専門家は、子どもはなるべく多い方がいいといった社会的風潮や家系継承が嫡子(長男)に限定されるといった家族観、本土とは違い復帰前の米施政権下では人工妊娠中絶が禁じられていた歴史的経緯を要因として、沖縄は本土よりも少子高齢化が十数年遅れていたと分析する。
長年沖縄の優位性と位置づけられてきた人口増加社会も終わりを迎えた。ただ、人口減少による深刻な課題に今まさに直面している全国自治体の対応を参考にできる時間はある。官民が連携し、社会のあらゆる場面でデジタル化を進めるなど対策に取り組み、人口が減っても質を維持したまま各種サービスを持続的に提供できる環境を構築する必要がある。
(梅田正覚)