「保安林」の指定域で工事発注 防衛局、県知事の許可なく 12~14年、沖縄・陸自勝連分屯地


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沖縄防衛局

 【うるま】うるま市の陸上自衛隊勝連分屯地で、県知事の許可なしに伐採開発された疑いがある保安林について、沖縄防衛局が保安林の指定域にかかる工事を発注していたことが14日までに分かった。伊波洋一参院議員が防衛省に質問し、回答された文書で明らかになった。

 文書によると、保安林の指定区域にかかる一帯で2012年3月から14年4月にかけて、訓練場新設や通信線路整備などの工事計4件を発注していた。

 保安林は1912年、旧森林法に基づいて指定区域にされたが、73年に自衛隊が米軍から分屯地を引き継いだ時点では樹木はすでになくなっており、戦前戦後に米軍か日本軍が伐採した可能性もある。同問題を巡って沖縄防衛局は、73年の時点で「当該区域は米軍により開発されていた」としている。

 保安林伐採を問題視しているミサイル配備から命を守る市民の会は、「保安林は風害の防備のために指定される大事な区域だ。すでになかったとしても、県は防衛局に対して原状回復を命じるべきだ」と指摘した。
 (古川峻)