「爆買い」付け込み商品市価の5倍 中南部の複数免税店


社会
この記事を書いた人 田盛 良一

 外国人観光客が急増する中、市販価格の数倍の値段で商品を販売する免税店が県内に複数存在することが10日までに分かった。沖縄側の受け入れ旅行会社やガイドが、観光客を「総合免税店」と称する店に案内し、店側が中国人客らの「爆買い」に付け込んで薬や化粧品などを購入させているという。店舗関係者によると、一部商品は一般の市販価格の約5~6倍で販売しているという。沖縄観光コンベンションビューロー(OCVB)は「観光客に満足して帰ってもらいたいので、適正な販売をしてほしい」と話している。観光庁は情報提供を呼び掛けている。

 背景に中国の旅行会社が販売する格安訪日ツアーの急増がある。格安価格でツアー客を募集しているため、日本の旅行会社にバス料金などの受け入れ費用を払わない。日本側は中国人客らを契約先の免税店へ案内し、店側からバックマージンをもらうことで利益を得ているという。
 観光関係者によると、こうした免税店は現在、本島中南部に少なくとも7~8店あるという。ほとんどは本土に本社を置く中国系や韓国系、台湾系企業の支店とみられる。
 免税店関係者は「クルーズ客が1回来ると、店には1千万円以上の収入がある。特に中国人客が消費してくれる」と話す。
 観光庁は琉球新報の取材に対して「東京にもいくつかこのような免税店がある。しかし実態がよく分からず、取り締まりもできない。事実確認には客からの情報が頼りだ。怪しいと思えば、情報提供してほしい」と呼び掛けている。国民生活センター越境消費者センターは「訪日時のトラブルに関する相談はほとんどなく、共有できる事例がない」と話している。