原因究明と記録回収が鍵 陸自ヘリ事故5人発見 機体主要部も同じ所に


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 沖縄県宮古島市沖での陸上自衛隊ヘリコプター事故で、搭乗していた10人のうち5人とみられる姿が確認され、うち2人が引き上げられたのはヘリが消息を絶ってから10日後の16日となった。機体の主要部分も同じ場所で見つかった。今後、事故調査は原因究明に向け、事故時の飛行高度や経路が分かるフライトレコーダー(飛行記録装置)の回収が待たれる。

 幹部ら10人を乗せた陸自のUH60JA多用途ヘリ1機は6日午後3時46分に航空自衛隊宮古島分屯基地を離陸。宮古島市内の地形やインフラなどの視察が目的だった。坂本雄一第8師団長(55)ら9人は熊本県を拠点とする第8師団所属。宮古警備隊の幹部1人も搭乗していた。離陸から10分後の午後3時56分、ヘリの機影がレーダーから消えた。

 陸海空自衛隊や海上保安庁は6日午後5時すぎから捜索を始め、12日までに機体の一部とみられる22部品を発見・回収した。だが、肝心の搭乗者や機体の主要部分などが見つかっていなかった。

 捜索状況が大きく動いたのは13日夜だった。海自が水中音波探知機(ソナー)で機体主要部とみられる物や隊員の可能性がある姿を発見した。水中カメラも投入したが十分な情報が得られず、深い海で長時間作業するための特殊な技術「飽和潜水」を使った確認に乗り出した。16日に機体の胴体部分とみられる一部と隊員5人とみられる姿を確認した。他の隊員の捜索も急いでいる。

 事故当日の状況は明らかになっていないことが多い。レーダーから消える2分前に下地島空港の管制と口頭で標準的な交信があったことから、急激なトラブルがあったとみられる。ただ、陸自は「気象上の問題はなかった」との認識だ。また、3月末に受けた定期的な特別点検や直前の飛行・点検でも特に問題は確認されていなかった。

 消失の3分前と5分前に撮影された防犯カメラの映像では低空飛行するヘリが確認された。防衛省も映像を入手して分析を進めるが、具体的な飛行高度や経路は機体に取り付けられていたフライトレコーダーを解析しなければ判明しない。事故の実態解明に向けてはフライトレコーダーを回収できるかどうかが焦点だ。
  (明真南斗)