戸原、ランで逆転 「最高の瞬間」笑顔はじける 宮古島トライアスロン女子の部初栄冠


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息子を抱いてゴールし、女子の部での初栄冠を喜ぶ戸原明子=16日、宮古島市陸上競技場(大城直也撮影)

 【宮古島トライアスロン取材班】第37回全日本トライアスロン宮古島大会(主催・宮古島市、琉球新報社)は16日、与那覇前浜ビーチから出発して宮古島市陸上競技場をゴールに行われた。男子は初出場の寺澤光介(東京)が6時間4分47秒で初優勝をつかんだ。女子は2度目の出場となる戸原明子(茨城)が7時間8分21秒で初制覇した。男子2位は大畑亮介(東京)、3位は土田洋平(岐阜)。女子2位は太田麻衣子(東京)、3位は巖淵知乃(埼玉)だった。今大会はバイクとランの距離が短縮され、スイム3キロ、バイク123キロ、ラン30キロの計156キロで行われた。スイムは混雑を避けるために、4グループに分けてスタートをずらすウエーブ(時間差)スタートで行われた。

 2019年の大会で3位だった戸原明子(茨城県)が強みのあるバイクでハプニングに見舞われ、順位を落とすもランで逆転し、初優勝をつかんだ。自身が9カ月の時に父・正一さんに抱っこされてゴールしたのを再現するように、息子・幸人ちゃんを抱きかかえてゴールした。「抱っこでゴールはめっちゃきつい」と苦笑いも「本当に最高の瞬間でした」と笑顔がはじけた。

 スイム終了時点で3番手につけ、トランジットで2番手に上がり、バイクでトップの太田麻衣子を追いかけた。26キロ地点で太田を抜くと距離を保ちつつ首位をキープ。しかし、38キロ過ぎにゼッケンが外れそうになり、直している間に太田に抜かれた。すぐに抜き返して一人旅になるかと思われたが、73キロ過ぎに巖淵知乃に追いつかれた。

 その後はトップが入れ替わりながらレースが進んだ。88キロ辺りでチェーンが外れ、巖淵と差をつけられた。「バイクで(巖淵に)抜かれて気持ちが落ちた」が、男子選手と走りながら気持ちを落ち着かせ、2番手でフィニッシュした。

 ランは暑さで体力を奪われるも、エイドステーションで水分補給と体を冷やしながらスピードを保った。沿道から「女子1位は前だよ」と言われるまで、追い上げていることに気づかなかった。19キロ過ぎに巖淵を抜いた。宮古島の人の応援に「練習で出せない力が出てくる」と最後まで足取りは変わらず、走り抜いた。

 今大会の課題を挙げれば次々と出てくるも「伸びしろがあるってことですね」と前向きだ。連覇については「強い人をエントリーさせなければ」と冗談を言いながらも「ママになったから諦めるのではなく、やりたいことはやる。表彰台に上れるだけの力はキープしたい」と最後まで笑顔だった。
 (屋嘉部長将)