地域で友だちと育ってほしい 医療的ケアが必要な仲村さん、公立小学校に入学 両親、支援体制の構築願う 沖縄・宜野湾


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
姉の璃夢さん(左)のランドセルを引き継ぎ、小学校生活をスタートさせる仲村夢杏さん=7日、宜野湾市

 【宜野湾】医療的ケアが必要な仲村夢杏(ゆあん)さん(6)が10日、宜野湾市立志真志小学校に入学した。「地域との関わり合いの中で育ってほしい」という両親の思いから、特別支援学校ではなく地元の公立小学校で学ぶ。父親の翔さん(39)や母の紋野さん(40)は「本人の成長への期待はもちろんだが、子どもたちがケア児の存在を知り、受け入れるという環境につながっていければうれしい」と前を見据える。

 夢杏さんは、脳からの命令を伝える神経の束が納まっている脊椎骨が、生まれつき形成不全になっている「二分脊椎症」で、たんの吸引や排せつの介助などが必要となる。紋野さんは当初は「支援学校に通うのが当たり前と思っていた」が、支援員から公立学校での学びを提案され、「地域で育てられるんだ」と思いを強くしたという。

 1歳になる頃に、認可保育園の入園に向け、市に相談したところ「前例がない」と回答された。半年後に再度、市に掛け合い、関係機関などによる特別審査会などを経て、2019年に市内で初めて認可保育園に通う医療的ケア児となった。

 そのまま公立幼稚園に進み、両親の思いをくむように、友人たちに囲まれ笑顔も増え、それまで動かなかった手も動かせるように。翔さんも「周りの子どもたちから刺激を受けて楽しそうにしている。幼稚園に行きたいと手話までする」と語り、娘の変化に喜ぶ。

 看護師が配置されるが家族の負担は変わらず大きい。看護師は年ごとの契約のため、1年で代わることも多い。夢杏さんの介助に慣れる必要があるため、看護師が代わるたびに学校には両親のどちらかが別部屋で待機するなどの付き添いが求められる。保育園の1年目は3カ月間、付き添いで通い続けたという。

 紋野さんは「待機といえど、気が休まる状態ではない」と漏らす。小学校で配置される看護師が決定したのは3月中旬。市からは「看護師が見つからなかったら、両親が付き添ってくださいね」と伝えられたと明かす。

 看護師が配置されるものの、新年度に入ったため付き添いはまた始まるという。

 県障害福祉課によると、県内の医療的ケア児は約440人。翔さんは「医療の発展により、今後さらに増えるだろう。県や自治体は早急に受け入れ体制を整える必要がある」と指摘した。
 (新垣若菜)