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10人が乗った陸上自衛隊のヘリコプターが行方不明となった事故で、伊良部島北約6キロの海底で機体胴体部分や搭乗者とみられる5人が見つかった。不明者の捜索は続くが、風で流された可能性もあり広範囲での展開が必要と専門家は指摘する。原因究明には機体の引き揚げが必須で民間サルベージ会社が担う方向になったが、難航も予想される。
事故が起きた6日当日の捜索では、レーダーから機影が消失した位置より北側海域で回転翼のブレード(羽根)やドアが見つかった。石垣島地方気象台によると、翌7日からは沖縄地方の方言で「ニンガチカジマーイ」と呼ばれる北からの季節風が吹き、海が荒れた。それ以降は南側の海域で部品発見が相次いだ。
水難学会の斎藤秀俊会長によると、現場海域では北方向に向かう潮流があることから当初は北側で部品が確認されたが、その後は北風により南側の海域で発見が相次いだと分析。時間の経過とともに散らばっていったことが分かる。
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搭乗員も機影消失位置から南方向に流された可能性があるほか、救命胴衣を着用していない場合、海底付近に取り残されている恐れがあると指摘し、より広範囲に捜索する必要があると話す。陸自によると、今回のような地形の視察を目的とした飛行では必ずしも救命胴衣の着用は必要ないという。
事故の目撃証言もなく、原因を特定するためにも機体の調査が欠かせないが、海難事故の原因調査や捜索に詳しい神戸大大学院の若林伸和教授は引き揚げは難易度が高いと指摘する。
自衛隊には海底からのつり上げに使う機材がないことから、陸自は民間業者への委託を決め、入札手続きに入った。昨年4月の北海道・知床半島沖の観光船沈没事故では業者が飽和潜水によりベルトやワイヤを使って、クレーンでつり上げた。
若林教授は今回も観光船事故と同様の手法でつり上げるのではと推測。その上で「サルベージ会社はヘリを扱うケースが少なく、また一般的にヘリは船よりも強度が弱いとされるため、どこにベルトを取り付けるかなどを入念に打ち合わせする必要がある」とし、作業着手までには一定の期間がかかるとみている。
(共同通信)