【記者解説】新年度、専科教員の未配置回避できず 不足数は年度末に向けて増える傾向に 行政は迅速な具体策を


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 県内の公立学校で学級担任の未配置は回避できたが、専科教員など担任以外の教職員23人が足りなかった。そもそも未配置が出ること事態が異常であり、教員不足問題の解決には至っていない。

 県内では昨年4月に64人の教職員未配置があった。今年1月時点では2倍以上の135人に増えた。教員不足は年度末に向かうにつれ増える傾向にある。教育行政の運営を担う県教育委員会と国は、不足が出ないための具体策を迅速に打ち出す責任がある。

 深刻な教員不足を背景に、県教委はペーパーティーチャーセミナーの実施などで臨時的任用教員の掘り起こしを続けた。現場教員も街頭に立ち「先生が足りない」と呼び掛けた。これらの声が教員免許取得者らに届き、前年同期より未配置数が減少するなど一定の成果を上げた可能性もある。

 ただ、学校現場は県の基準より多くの児童生徒を受け入れたり、専科教員らの不足をカバーする教員がいたりする状況で、課題は残されたままだ。教育現場が県や国に求めているのは、子どもとじっくり向き合える環境づくりで、行政が今後どのような施策を進めるのか注目される。

 県教委は教員不足の原因を「特別支援学級の増加や教員のなり手不足」などと説明する。なり手不足や病休者の解消に向け、4月に働き方革の強化・推進を目的に「働き方改革推進課」を県教委に新設した。教職員が働きやすく、教員志望者が増えるような環境づくりを目指して始動し始めたばかりだ。未配置解消に向けて、スピード感を持った取り組みが求められる。
 (嘉数陽)