米軍、「住民への影響は問題視してない」 那覇軍港のオスプレイ利用で沖縄県に認識示す


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在沖米海兵隊政務外交部と意見交換後、記者団の取材に応じる県の古堅圭一基地対策統括監=19日、北中城村

 3月に米軍の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイが米軍那覇港湾施設(那覇軍港)から飛行した問題で、県の古堅圭一基地対策統括監は19日、米軍キャンプ瑞慶覧の在沖米海兵隊政務外交部を訪ね、意見交換した。対応したティモシー・モレロ次長は「オスプレイが那覇軍港を利用する頻度は高くないため、住民への影響はあまり問題視していない」との認識を示したという。市街地上空を避けているとも述べた。

 県は、軍港の使用主目的である「港湾施設および貯油所」とした日本復帰時の日米合意(5・15メモ)に沿い、飛行や訓練を実施しないよう求めている。軍港での航空機の離着陸に対する認識の違いが浮き彫りとなった。

 古堅氏が地域住民に与える影響について質問したことに対し、回答したという。取材に対し古堅氏は「運用回数が少ないからといって米軍航空機の運用はなかなか地元の理解は得られない」と強調した。意見公開は非公開で行われ、終了後、古堅氏が記者団に内容を説明した。

 古堅氏はオスプレイの陸揚げ場所に関し、山口県の岩国基地を代替案として示した。モレロ氏は、整備士が普天間飛行場に常駐しており、岩国での後方支援に負担がかかるとの認識を示した。飛行時間が長くなりダイバート(目的地変更)の可能性も高まるといった課題を指摘しつつ、岩国に陸揚げし、普天間まで飛行することについて「一度調べてみたい」と回答したという。

 今回のオスプレイの陸揚げで、米軍が那覇市には事前に情報提供した一方、県には提供しなかった理由について説明を求めた。モレロ氏は「県に通知しなかったことは故意、意図的なものではない」と回答した。県が今後の改善を求めたところ、モレロ氏は「分かりました」と述べた。

 古堅氏は今後の県への情報提供について「米側がしっかり対応してくれるのではないか」と述べた。
 (知念征尚)