那覇軍港の浦添移設計画に日米が合意 「T字」形状に埋め立て、17施設を整備


この記事を書いた人 琉球新報社
那覇軍港の代替施設の建設が予定される海域=2020年8月、浦添市西洲(小型無人機で撮影)

 【東京】米軍那覇港湾施設(那覇軍港)の浦添市移設に向け、防衛省は20日、同日の日米合同委員会で軍港代替施設の形状や施設配置に関する計画(マスタープラン)について合意したと発表した。民港部分の北側に「T字型」の軍港代替施設を造成し、そこに事務所7棟、倉庫2棟、食堂1棟、消防署1棟など計17施設を整備する。計画に日米が合意したことで、日米合意から50年近くが経過した軍港返還は本格的に動き出すことになる。

 一方、県民有志が始めた浦添西海岸の埋め立てに反対するインターネット上の署名は20日現在、約3万3千人分集まるなど、反対する意見も根強い。

 代替施設の面積は約49ヘクタールを予定。政府や県は「現有機能の移設」と説明しているが、両者で「現有機能」の定義が一致していない。民港の整備計画もあり、防衛省は整合性を図ったとしている。

 軍港移設については2022年10月に代替施設の位置や形状について県と那覇、浦添両市の意見がまとまったことから、防衛省は移設に向けた作業を加速させている。米側との合意を前に、7日には移設先での環境影響評価(アセスメント)に向けて業者を募る入札手続きを始めた。

 軍港返還は1974年に日米両政府が合意したが実現していない。浦添市沖への移設が決まった後も、県や那覇市と浦添市の間で形状や位置について意見が分かれていた。国と県、両市は2022年10月に移設協議会を開き、軍港代替施設の位置や形状について合意した。

 那覇軍港移設に関する現行計画では環境アセスや設計に5年、県知事の埋め立て承認手続き1年、埋め立てなど工事に9年、米軍への提供手続きに半年―の計15年半というスケジュールが想定されている。 (明真南斗)