辺野古「公正な立場で」 那覇でシンポ、司法に問い掛け


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
辺野古裁判のパネルディスカ辺野古裁判のパネルディスカッションで、マイクを握る県側弁護団の加藤裕弁護士(左)と紙野健二名古屋大名誉教授=22日、那覇市泉崎の琉球新報ホールッションで、マイクを握る県側弁護団の加藤裕弁護士(左)と紙野健二名古屋大名誉教授=22日、那覇市泉崎の琉球新報ホール

 名護市辺野古の新基地建設に関するシンポジウム「辺野古裁判と誇りある沖縄の自治―裁判の今とこれから」(辺野古訴訟支援研究会主催、オール沖縄会議共催)が22日、那覇市の琉球新報ホールで開かれた。講演した県側弁護団の加藤裕弁護士は県側の訴えが退けられてきた現状について「知事の裁量判断を侵害している。(最高裁で)ひっくり返せる展望はある」と強調した。

 県や辺野古周辺住民による裁判報告のほか、各研究者による問題提起などがあった。約250人が来場し、司法に沖縄問題を問い掛けかけていくことを確認した。

 辺野古・大浦湾の軟弱地盤改良工事に伴う防衛省の設計変更申請を県が不承認とした処分を巡り、県が国の関与取り消しを求めた2件の訴訟は、3月に福岡高裁那覇支部で県の訴えが退けられ、県が最高裁へ上告した。加藤弁護士は、公有水面埋立法で定められた「国土利用上適正かつ合理的であること」の要件は、「最高裁の判断基準として知事に広い裁量がある」と述べ、高裁那覇支部判決を最高裁で覆せるとの見方を示した。

 紙野健二名古屋大名誉教授は、辺野古問題を「政治的性格の強い紛争だ」と指摘。沖縄防衛局が行政不服審査制度を使い同じ政府機関の国土交通相に審査請求した手法などを問題視し「県は住民の意思に基づいた行動をしている。裁判所は民主主義や地方自治への理解が足りない」と疑問を呈した。

 パネルディスカッションは、立石雅昭新潟大名誉教授が新基地の耐震設計について「極めてずさんで(震度6弱などの)地震では持たない」と指摘した。オンライン参加の岡田正則早稲田大教授は、6月5日に東京で辺野古問題を考えるシンポジウムを予定していることを明かした。

 最後に登壇した玉城デニー知事は「地方自治の自由と人権の公正な立場から、最高裁はしっかりと判断しないといけない思いを強くした」と語った。 (金良孝矢)