先島に過去3回展開 PAC3、本島は13年以降常駐


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2016年2月、北朝鮮の弾道ミサイル迎撃のため宮古島に配備された自衛隊の地対空誘導弾PAC3の発射装置。後方の島は伊良部島=宮古島市平良のトゥリバー地区

 政府は2012年4月と12月、16年2月にも北朝鮮による発射計画を受け、沖縄本島と先島地方に迎撃用のミサイル部隊を展開した。ただいずれの場合も、北朝鮮が人工衛星と称した事実上のミサイルは上空を通過し落下物などはなかったため、破壊措置命令に基づく迎撃は行われなかった。

 12年4月と12月の際は航空自衛隊那覇基地と知念分屯基地、宮古島分屯基地、石垣島の新港地区の4カ所に地対空誘導弾パトリオット(PAC3)を配備した。東シナ海などに海上配備型迎撃ミサイル(SM3)を搭載したイージス艦も派遣した。さらに与那国島と多良間島には陸上自衛隊の連絡員が派遣された。

 仲井真弘多知事(当時)は12年3月、「(PAC3)配備は優れて防衛技術上の問題で、政府の判断を排除する理由は一つもない」との見解を示した。

 13年以降、沖縄本島の空自那覇基地と知念分屯基地、恩納分屯基地にはPAC3が常駐配備されるようになった。

 16年もPAC3を宮古島、石垣島に展開したほか、部品などが落下した場合に備え、与那国島などに陸上自衛隊の連絡員などが派遣された。

 翁長雄志知事(当時)は「万が一の対応だ。的確だったと思う」と評価した一方、名護市辺野古の米軍新基地建設計画を念頭に、沖縄には基地が必要との印象が強まることから「ある意味で痛しかゆしだ」と語った。
 (梅田正覚)