防錆施設移設を強行へ 米軍、嘉手納町の要請拒否


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嘉手納飛行場

 【東京】米空軍嘉手納基地の住民居住地域に近い旧駐機場「パパループ」付近に防錆(ぼうせい)整備格納庫の移設が予定されている問題で、米軍は移設先を変更せず、嘉手納町が反対していた当初の予定地で整備を進める方針を27日までに固めた。複数の関係者が明らかにした。米側と交渉してきた防衛省や外務省の担当者は28日午前、嘉手納町役場を訪れ、當山宏町長に直接、説明する。米空軍の予算計画によると、2028年夏ごろの完成を予定している。

 今年3月に米空軍が連邦議会に提出した予算計画によると、防錆施設の建設プロジェクト費用は合計で3億700万ドル(約400億円)。

 施設面積は1万4160平方メートル。また既存施設の2830平方メートルを解体する。工事の関係作業が4~5月に始まり、建設工事は24年初めごろから本格化するとみられる。最初は植物の移植や整地、文化財調査などをするとみられる。

 格納庫の整備予定地は住宅地に隣接し、使用固定化につながる懸念や、環境汚染につながる恐れがあることなどから、嘉手納町は建設に反対の姿勢を示していた。町は建設場所を民間地から離れた場所にする代替案を米側に提示していた。防衛省や外務省も町の要望を受けて米側と協議していたが、米側が拒否した格好だ。

 嘉手納町議会が移設計画の撤回を求める抗議決議と意見書を全会一致で可決し、県議会も計画の見直しを求める決議、意見書を全会一致で可決していた。浜田靖一防衛相は2022年10月の記者会見で「地元の懸念を十分に受け止めながら米側と協議していく。嘉手納町の懸念を伝達し、さまざまなレベルで協議している」と語っていた。 (明真南斗、島袋良太)