嘉手納町長「残念」 米軍の防錆施設移設で防衛局が町に説明 近くには住宅地、地元の変更の願い届かず


この記事を書いた人 Avatar photo 仲井間 郁江
軍嘉手納基地における防錆整備格納庫の整備計画について、當山宏嘉手納町長(左列奥から2人目)らに計画を説明する小野功雄沖縄防衛局長(右列手前から2人目)ら=28日午前11時ごろ、嘉手納町役場

 【嘉手納】米軍嘉手納基地内の防錆(ぼうせい)整備格納庫の移設計画について、嘉手納町が予定地の変更を求めていた件で、防衛省と外務省は28日、米軍が計画通りの場所に建設を進めると町側に伝達した。

 沖縄防衛局の小野功雄局長や防衛省の折戸栄介沖縄協力課長らが嘉手納町役場に當山宏町長を訪ねて説明した。予定地は住宅地に近く、町は基地内の別の場所への移設を提示していた。

 當山町長は説明会の後に記者団の取材に「残念であると言わざるを得ない。今後の対応は今日の説明を再度確認し、考えていく」と述べた。

 工事の関連作業は4~5月にかけて始まる見通し。米空軍が連邦議会に提出した予算計画書によると、2024年から建設工事が本格化し、28年夏ごろの完成を予定している。

 米側は現在の整備格納庫が老朽化していることや、一部の大型輸送機が収納できないことなどを理由に、新たな格納庫を建設するとしている。整備予定地は住民居住地域に近い旧駐機場「パパループ」付近。現状は住民地域と基地の緩衝地帯のような位置付けだが、防錆整備格納庫が整備されればパパループの使用固定化につながる懸念や、環境汚染につながる恐れがあることなどから、町は建設に反対の姿勢を示していた。

 町は建設場所を民間地から離れた場所にする代替案を米側に提示していた。日本政府も町側の懸念を踏まえ、建設計画の修正を求めて米側と協議していたが、米側は見直しを拒否し、協議は終了した。

 嘉手納町議会は移設計画の撤回を求める抗議決議と意見書を全会一致で可決し、県議会も計画の見直しを求める決議、意見書を全会一致で可決していた。