「住民無視に吐き気がする」嘉手納基地の防錆施設予定地 「屈辱の日」の伝達に「日本は主権国家なのか」


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米軍嘉手納基地(資料写真)

 【中部】嘉手納町の反対を押し切って、米軍は嘉手納基地の住民居住地域に近い旧駐機場「パパループ」付近への防錆(ぼうせい)整備格納庫の移設を決めた。住民からは「米軍は住民や自治体の声など屁(へ)とも思っていないのではないか」「無神経で理解できない。住民無視の態度に吐き気がする」などと怒りの声が上がった。

 防衛省の職員らが町に伝達した28日午前11時ごろ、町役場前には第4次嘉手納爆音訴訟原告団の福地勉嘉手納支部長ら8人が緊急で集まった。福地支部長は「戦争が近づいているようだ。被害を受けるのは町だけでなく基地を取り囲む市町村や県全体だ」と指摘した。

 この日は、71年前にサンフランシスコ講和条約が発効して日本の独立から沖縄が「分断」された「屈辱の日」。訴訟原告団の新川秀清団長(元沖縄市長)は「米国に付き添っているだけで住民の暮らしを守れない日本は本当に主権国家なのか。沖縄は今も打ち捨てられた『屈辱の日』が続いている」と批判した。

 日常的に騒音などに悩まされているという町屋良東区の仲宗根朝也自治会長は「住民の健康と安全を危険にさらされるのは絶対に反対だ」と話した。これまでも負担軽減を要望してきただけに、「悔しいし何もできないことに歯がゆさがある。嘉手納町の安全はどこにあるのか」と落胆した。

(古川峻、島袋良太)