【これまでの経緯図あり】陸自ヘリ事故、原因究明へ大きな局面 不明者4人の捜索続く 沖縄・宮古島市沖


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回収した機体の一部を作業船「航洋丸」へ運び込む自衛隊員=2日午後5時40分、宮古島市の平良港(又吉康秀撮影)

 4月6日に宮古島北西の洋上で行方不明となった陸上自衛隊のヘリコプターの胴体部分が2日、伊良部島北側約6キロの海底から民間作業船により引き揚げられた。発生から1カ月を前に、事故原因の究明に向けての大きな局面を迎えた。自衛隊は、行方が分かっていない乗組員4人の捜索を進めるとともに、事故の原因究明を急ぐ。

 航空偵察のため坂本雄一第8師団長(当時)ら乗組員10人を乗せた陸自UH60JA多用途ヘリは、4月6日午後3時46分に航空自衛隊宮古島分屯基地を離陸。10分後の同56分に伊良部北側約3キロの地点で機影がレーダーから消えた。機影消滅の2分前には、下地島空港の管制と口頭でやり取りしていたことが判明している。

 自衛隊や海上保安庁などは10人の行方を連日捜索した。当初は機体の一部などの確認・回収にとどまり捜索は難航したが、13日に海上自衛隊が水中音波探知機(ソナー)で伊良部島の北側約6キロの地点でヘリの胴体部分と乗組員を海底で確認し、事態は進展した。

 深い海域に潜るための特殊技術「飽和潜水」により乗組員を引き揚げ、5月1日までに坂本前師団長を含む乗組員6人の死亡を確認している。

 陸自は胴体部分の引き揚げに向けて民間のサルベージ業者に委託し、作業船を現場海域に投入。4月下旬から作業船が無人潜水機(ROV)や大型の網を投下し、引き揚げに向けた準備を進めてきた。