敷地拡張のため伐採したフクギ、思わぬ活用 実は、沖縄の伝統織物に欠かせない染料に


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フクギの幹の皮を採集した島袋知佳子さん(右から2人目)ら=4月14日、沖縄市山内

 【沖縄】県立芸術大学工芸専科で染織りを学んだ島袋知佳子さん(37)ら同窓の仲間5人が4月14日、沖縄市山内で染色に使うフクギの表皮をはぎ取る作業を行った。

 区内の宮森千尋さん(65)が新居を建てるため屋敷の拡張を余儀なくされ、10本余のフクギを伐採することになった。その情報が同市博物館学芸員からあり、宮森さんの快諾も得た。

 宮森さんによると、2本は樹齢が100年を超え、高さ15メートル余りの大木。島袋さんらはハンマーでたたいて厚さ数ミリ前後の表皮をはぎ取とり、作業の結果、幅60センチの円形のアルミたらい5個分を採集した。

 フクギの幹の皮は煮出すことで鮮やかな黄色の溶液ができ、沖縄の伝統織物に欠かせない染料。島袋さんは「最近はフクギがなかなか手に入らない。今回はほんとにありがたい。早速フクギ染めの作品づくりに取り組みたい」と感謝した。

 貴重な心材も島袋さんらの知人の木工職人に提供されることなった。宮森さんは「思わぬ形で活用、協力できうれしい」と喜んだ。
 (岸本健通信員)