有料

「満員じゃないのに乗れない」 ゆいレール、スーツケースで入り口周辺ふさがる 「奥に詰めて」多言語で呼び掛け


この記事を書いた人 Avatar photo 與那原 采󠄀恵
ゆいレールに乗れずに取り残される利用客ら=4月20日、ゆいレール美栄橋駅

 沖縄都市モノレール(ゆいレール)では朝のラッシュ時に、場所を取るスーツケースを持った旅行客が車内の出入口周辺にとどまってしまい、満員でないにもかかわらず、他の利用客が乗車できない問題が常態化している。駅で乗車待ちの客を乗せられない「乗り残し」の一因となっている。朝の通勤時間と空港へ向かう旅行客が重なる午前9時前後の那覇市中心市街地の駅で起きており、観光立県沖縄特有の問題だ。

 ゆいレールを運営する沖縄都市モノレール(那覇市)には新型コロナウイルスの感染が落ち着ついた昨秋ごろから、乗客のマナーに対する苦情が寄せられていた。

 4月24日午前8時50分ごろ、美栄橋駅の那覇空港向け構内は、スーツケースを持った外国人観光客やかりゆしウェアを着た地元客らでごった返していた。車両が到着し、入り口が開いた途端、観光客らが一挙に乗り込んだ。入り口周辺は旅行客らが持つ大型のスーツケースでふさがれてしまい、通勤客の一人は乗り込むのを諦めた。

 通勤客の男性(25)は「今日はいつもより早めに出勤したが、この時間帯は大体乗れずに一本見送ることが多い。観光客が多い時間帯はダイヤ数を増やす工夫があってもいいのでは」と話した。

 ゆいレールは2両編成で乗車定員は165人。人口密集地の那覇市、浦添市と那覇空港を結ぶ。地元客と観光客が混在する県内唯一の鉄軌道だ。

 都市モノ社は「ドア付近で立ち止まらずに中へ詰めて乗車してほしい」としてポスターを作成している。また、外国人にも通じるように、今後は複数の外国語表記のつり革広告を掲載してマナー向上を呼びかける。

 さらに大型連休の混雑緩和に向け、5日から7日は増便ダイヤで運行する。また、現在2両編成で運行しているが、年度内を目標に乗車定員が251人となる3両編成の車両を2編成運行させる。

 3両編成車両は朝夕のラッシュ時に導入を開始し、車両内にスーツケース置き場も新設されることから、現在指摘されている問題は緩和する見込み。

 沖縄都市モノレール営業統括課の安里将上席主任は「安全、安定輸送で多くのお客さまを目的地までとどけたい。お客さまにも乗車マナーを守りながらゆいレールを利用してほしい」と利用客への乗車マナー向上を呼びかけた。
 (與那原采恵)