石垣 国際線再開見通せず、空港の検査員不足、需要回復も態勢整わず


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新石垣空港国際線の出入り口付近=2日、石垣市

 八重山の空の玄関口「新石垣空港」(南(ぱい)ぬ島石垣空港)で保安検査業務に当たる職員が不足し、新型コロナウイルス流行前に就航していた国際定期便が再開できていない状態が続いている。コロナの影響緩和で海外からの八重山観光の需要回復が見込まれる中、受け入れ態勢が整わず、10周年を迎えた同空港は厳しい運営を迫られている。

 住民や観光客の往来を支える新石垣空港。2013年3月の開港から22年12月末までの乗降客数は、国内・国際線合計で2171万7135人に上った。近年はコロナの影響で減少したが、22年の乗降客数は3年ぶりに200万人を上回った。

 一方、シフト調整が必要となる国際線は、保安検査員の不足もあり就航を再開できておらず、コロナ前の19年は5万37人だった海外からの入域観光客数が、20年3月以降はゼロが続いている。

 香港の格安航空会社(LCC)の香港エクスプレスは、6月4日から香港―石垣路線の運航を予定していたが、「国際線運航の再開ができない状況が続いている」として全便欠航を発表した。

 航空関係者によると、同空港で国際線を就航させるためには、少なくとも30~40人の保安検査員の確保が必須。だがコロナ禍による国際線運休を機に、保安業務を担う1社では約35人いた従業員の離職が相次ぎ、現在は19人にまで減少した。

 事態を重く見た石垣市は、ホテルや航空系などの人手不足対策として、ハローワークと連携して求人募集をしているが、保安検査業務に必要な空港保安警備業務検定1級の受験資格を得るためには、2級取得後に1年間の実務経験が必要とされるため、募集をかけてもすぐに必要な人材を補充できるわけではない。

 石垣市商工振興課の担当者は「保安検査員は国内線でも足りていない。人員を確保しつつ、国際線にも勤務できる態勢を整えたい」と話した。
 (與那覇智早)