【記者解説】離島も本島も 県内のガソリン価格、統一化へ必要なことは


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 県は4月、離島のガソリン小売価格を本島並にするために、石油製品輸送費に補助しているのにもかかわらず、価格差が生じている要因を分析した報告書を公表した。離島のガソリン年間販売量の少なさが小売価格を押し上げている要因と分析した。また、補助金の対象外となる離島特有の流通コストや施設維持費も小売価格に上乗せされているとした。

 県の石油製品輸送等補助事業の効果などに関する報告書からは、離島のガソリン小売価格は島の規模に大きく左右されることが明らかとなった。報告書は、電気は沖縄本島も離島も同一価格となっているとして、電気自動車(EV)や電動モビリティー(乗り物)の普及を提言した。

 ただ、脱炭素化の流れの中、化石燃料に由来するガソリンへの支援は時代と逆行することもあり、中長期的には離島県の特性を生かし、再生可能エネルギーの拡充による「エネルギーの地産地消」を進める必要がある。

 島しょ県で本土と比べてあらゆるコストが高い県民生活を維持するには、当面は産業の生命線となるガソリン価格の低減に向け、負担軽減措置や県内統一価格に向けた補助が必要だ。

 一口に離島と言っても規模によって状況は大きく変わる。県は経営基盤がぜい弱な小規模離島の事業者支援に向け、補助金の傾斜配分の割合変更を検討するなど、柔軟な対応も求められる。
 (梅田正覚)