【深掘り】営業利益は本島の5倍の施設も 離島のガソリン価格の現状


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 県は4月、離島のガソリン小売価格を本島並にするために、石油製品輸送費に補助しているのにもかかわらず、価格差が生じている要因を分析した報告書を公表した。離島のガソリン年間販売量の少なさが小売価格を押し上げている要因と分析した。また、補助金の対象外となる離島特有の流通コストや施設維持費も小売価格に上乗せされているとした。

 小規模離島の給油所が厳しい経営を強いられる一方、年間販売量の多い大規模離島の給油所は、競争が激しい沖縄本島よりも粗利は大きいが、小売価格の引き下げには至っていない側面もある。

 県が2022年度に実施した石油製品輸送等補助事業の効果などに関する報告書によると、年間2千キロリットル以上を販売する離島の全給油所で営業利益は黒字だった。これらの給油所はガソリン1リットル当たり187.9円で販売し、そのうちの営業利益は1リットル当たり12.4円。本島の同規模給油所は1リットル当たり168.9円で販売し、営業利益は5分の1程度の2.5円だった。

 離島では「販促を目的とした特売・値下げなどを行っていない」と回答した事業者が本島よりも多い。競合給油所があっても小売価格を引き下げる競争が起きていないとみられる。

 一方、県内の石油製品事業者からは、本島市場の小売価格低下は過当競争によるものとの見方もある。その結果、給油所経営は年々厳しくなっていると説明する。関係者は「粗利率が20%ないと設備投資も含めた持続的な経営はできない。本島では粗利率が12%程度しかなく、商売としては離島の小売価格が正常と言える」と述べた。

 大規模離島のガソリン小売価格の低減には、消費者に直接補助する手法も想定される。報告書では、離島住民が給油所を利用する際に限定で使用できるクーポンの配布を提起した。県担当者は「クーポンは一つの可能性としてあるが、実現は難しい」との認識を示した。
 (梅田正覚)