【復帰51年 基地】自衛隊施設は4.6倍に、隊員も増 米軍専用は3割以上減 ドローンや土地利用「規制」も次々と <沖縄の今>


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日米共同統合演習に参加するため与那国町内の公道を走行する自衛隊の16式機動戦闘車(奥)。見つめる住民の姿も=2022年11月17日午後3時21分、与那国町与那国(小川昌宏撮影)

 沖縄が1972年に米施政権下から日本に復帰して15日で51年を迎える。復帰時から続く政府の沖縄振興政策によって、社会インフラの整備は着実に進み、県内総生産(GDP)は飛躍的に向上した。一方、全国の在日米軍専用施設面積の約7割が集中するなど過重な基地負担といった課題は横たわり続けている。

 沖縄の基地負担は復帰後、米軍基地を中心に削減が続けられてきた。だが、近年は自衛隊基地が拡張し、米軍専用施設と自衛隊施設を単純合算した総面積は2018年を底に増加に転じた。自衛官数の増加も顕著になっている。

 制度面でも、小型無人機(ドローン)の飛行を禁じるドローン規制法や土地利用規制法に基づく規制の網が防衛施設周辺で掛けられることになった。

 沖縄と政府の共通認識となってきた「基地負担の軽減」は停滞し、対中国を念頭に置いた防衛力強化と、それに伴う負担増が強まっている。

 沖縄が日本に復帰した1972年5月、県内の防衛施設面積は米軍専用施設が2万7892.5ヘクタール、自衛隊施設が166.1ヘクタールだった。

 最新の2021年の数字は米軍専用施設が1万8483.3ヘクタールとなり、復帰時と比べて3割以上減った。一方、自衛隊施設は779.8ヘクタールとなり、復帰時から4・6倍に拡大した。  

 米軍施設の大規模返還にブレーキがかかった一方で自衛隊施設の拡張は続き、県内の米軍専用施設と単純合計した総面積は19年以降3年連続で増加。3年間合計で53・4ヘクタール増えた。

 自衛隊を巡る基地負担は陣容にも表れている。県内の自衛官数は復帰後、6千人台が続いてきたが、2016年には約7100人となり、7千人の大台を突破した。  20年には約8200人となり、4年で千人以上増えたことになる。

 政府は昨年12月に閣議決定した安全保障関連3文書で、那覇市に拠点を置く陸上自衛隊第15旅団を師団化すると明記し、県内の防衛力強化が著しい。一方、在日米軍は11年の4万7300人を最後に軍人・軍属・家族数を公表していないため、実態は不透明だが、県内の負担感は着実に増している。  

(知念征尚)