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戦争継承、横断的学びを「時代背景に理解が必要」 平和教育ファシリテーターの狩俣日姫さん


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活動を紹介する狩俣日姫さん=13日、那覇市泉崎の琉球新報ホール(又吉康秀撮影)

 「新報女性サロン」の後継企画「step~自分らしく一歩前へ」(琉球新報社主催)の第3回講座が13日、那覇市の琉球新報ホールで開かれた。平和教育ファシリテーターの狩俣日姫(につき)さん(25)が登壇し、平和教育の難しさや戦争の記憶を伝える大切さを訴えた。

 狩俣さんは、ファシリテーターとは「会議や研修の目的、ゴールに参加者を導く誘導役」と説明。沖縄戦を題材にしたボードゲームや疑似的体験から学びを得るロールプレーイングの手法を用いて、児童生徒らに対話を交えて知識や教訓を伝え、考える力を育てている。

 狩俣さんは実は、元々は平和学習が苦手で、事前学習がないため知識を得る機会がなかったという。「戦争体験者の話の貴重さを受け取れなかった私には、こうした学習が必要だった」と話し、体験者と生徒らをつなぐ自身の役割について、実体験を踏まえ重要性を強調した。

 戦争の継承については「出来事を知るだけでなく、時代背景や当時の社会を理解していないと、(情報を)受け取れる量が変わる」と指摘し、学校教育や生涯学習、日常のニュースなど、点と点をつないだ横断的な学びが必要との認識を示した。

 自身がビジネス誌「フォーブスジャパン」が選ぶ2022年版「世界を変える30歳未満」に選出されたことにも触れ、「私のことよりも、戦争体験者や研究者、ガイドの取り組みを評価してくれたことがうれしい」と話した。 (小波津智也)