PFASの調査・規制を早急に 国や自治体の対策訴え 那覇でシンポ


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有機フッ素化合物(PFAS)の問題点などについて、識者や市民団体による報告が行われた講演・シンポジウム=14日、那覇市おもろまちの県立博物館・美術館

 人体への影響が懸念されている有機フッ素化合物(PFAS)について考える講演・シンポジウムが14日、那覇市の県立博物館・美術館で開かれた。有機フッ素化合物汚染から市民の生命を守る連絡会が主催。登壇者からはPFASによる健康被害に関し、国や自治体による調査や規制といった早急な対策を取る必要性を訴える声が上がった。

 米軍普天間飛行場からの流出が疑われているPFASの問題を追及する市民団体「宜野湾ちゅら水会」の照屋正史さんは、同飛行場での2020年4月の泡消火剤流出や、基地北側にある消火訓練施設が地下水に影響しているとの見方を示す。

 ただ、県などによる立ち入り調査はいまだ認められておらず、照屋さんらは7月にスイスで開催する国連の会合に出席し、市民の健康が脅かされている現状を報告することにしている。「(政府関係者に聞き取りのできる)国連特別報告者に、立ち入り調査を許可するよう米政府に勧告を出してほしい」と話し、国連による働き掛けに期待した。

 高木吉朗弁護士は法律家としてPFAS問題について報告。日米両政府は15年に日米地位協定の環境補足協定に合意したが、緊急時の通報や立ち入り調査権が米側の判断に委ねられ、汚染事故に対する浄化義務も課されていないと指摘する。

 「県がこれまで地位協定の改定を再三訴えているが、とりわけPFASに関しては、何よりも日本の国内法を適用させることが重要だ」と強調した。
 (小波津智也)