元ちゃん「かなさされつつ、僕もかなさを」 元気、歌に乗せバトンを若手に 前川守賢さん、新アルバム発売


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レコーディングする前川守賢(左)と田場盛信=2月17日、宜野湾市のスタジオG(喜瀬守昭撮影)

 “元(げん)ちゃん”こと民謡歌手の前川守賢が17日、アルバム「ちゃーがんじゅう」(リスペクトレコード)をリリースした。本作は饒辺愛子、田場盛信、金城恵子、徳原清文ら沖縄民謡歌者を迎えて、新曲や民謡のスタンダード曲を収めた。前川は「コロナ禍やウクライナ戦争などがあるが、元気を届けたい。先輩方から受け取ったバトンを若手に渡すというコンセプトもある」と語った。

 1曲目に収録した新曲の「踊(うどぅ)ゐ三板(サンバで踊ろう)」は、三板の名手でもある田場と、三板をモチーフにした。登川誠仁の弟子で三板の指導を受けた田場が、「ケレレレ ケッケン」のかけ声に乗せて稽古に励んだと聞き、感銘を受けたという。そのかけ声を囃子に取り入れ、軽快なリズムで歌う。

アルバム「ちゃーがんじゅう」のジャケット

 8曲目の「デンサ節」は新良幸人と収録した。八重山民謡歌者で前川の師匠の黒島祐市と、その師匠の知名定男と石垣島で歌った際、当時中学1年の新良が見ていたという話を、新良から聞いたことがきっかけになった。「師匠に恩返しの意味も込め、師匠を知っている幸人と歌いたかった」と振り返った。

 ボーナストラックにはデビュー曲の「かなさんどー」を歌三線のみで収録した。「笑顔で接すると、先輩もまた笑顔を返してくれ育ててくれる。あなたは『かなさされているね』と(支えられてきた)。これからも初心忘るべからず、かなさをされつつつ、僕もかなさをしていきたい」と語った。

 古謝美佐子と42年ぶりに収録した「やしりん節」や、前川の娘の華暖も参加したアルバム表題曲の「ちゃーがんじゅう」や「イービン小」など計14曲となっている。税込み3300円。

 7月1日午後6時にミュージックタウン音市場で、アルバム発売を記念したスペシャルライブ「前川守賢ちゃーがんじゅう祭り」を開催する。前売り一般3500円、高校生以下千円(当日各500円増し)。問い合わせは音市場電話098(932)1949。
 (田中芳)