沖縄県内唯一、自治会運営の水道管理を町に移管へ 金武・伊芸区、財政に不安


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現在伊芸区が管理運営している浄水施設=17日、金武町伊芸区

 沖縄県内で唯一、自治会で簡易水道事業を運営している金武町伊芸区が、金武町に区の水道の管理を移管する方向で町と協議を進めていること17日までに、区や町への取材で分かった。伊芸区は1957年から区で整備した水道を運営しているが、稼働中の区の浄水施設は完成から50年近くたっており、将来的に必要となる施設整備や建て替えなどを区の財源で負担することが厳しいと判断した。

 伊芸区によると、区は57年、恩納岳の麓にある水源から取水するための配水管や浄水場を設置し、当時の琉球政府から認可を受け、水道事業を開始した。現在も浄水場の管理や水道料金の徴収などは区が行い、約400世帯、約千人が利用している。区の水道料金は1立方メートル当たり50円となっている。

 伊芸区は今後、水道事業を町へ移管した場合の水道料金や、浄水場を建て替える際の水の供給方法などを町と協議し、来年4月ごろには移管したい考えだ。

 町内ではかつて金武区、中川区、並里区、屋嘉区も独自に水道事業を運営していたが、89~97年にいずれも町へ移管している。4区が町へ移管したことから、伊芸区でも、町へ水道事業の管理を移管する案は挙がっていたが、区内では「先人らが築いた水道事業は区で管理すべきだ」との声もあり、議論を重ねていた。

 伊芸区の安富祖稔区長は「将来的に区の財源だけで運営を維持していくのは難しい。スピーディーに進めていきたい」と話した。
 (金城大樹)