余裕なさ子どもに影響 木本邦広氏(県教職員組合 中央執行委員長)<先生が足りない シンポ事前インタビュー>3 ㊤


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―教員不足でどんな影響が出ているか。

 「1人当たりの業務負担がさらに大きくなっている。年度末の教職員人事を見ると、若い世代の退職が増えているようだ。なり手不足もあり、悪循環が続いている」

 「最も大きな影響を受けているのは子どもたちだ。余裕のない中でつくられた授業は、どうしても創造性に欠けてしまう。最近は人手不足から、教員免許を取得していない教科の授業をしなければならない教員も増えた。今の学校では、子どもの知的好奇心を満たすことができているか。不登校が増加していることも、子どものSOSをキャッチできない教員の余裕のなさが関係しているはずだ」

―問題の解決に向けて取り組もうと考えていることは。

 「国が教員定数を増やすことが一番理想だが、それに期待している間にも、教育現場の悪化は進む。教員の負担軽減を急がなければならない。そのためにも、今すぐ取り組みたいと考えているのは情報共有とコミュニケーションだ。PTA、その他の保護者、地域住民、一般の方々に、学校の状況を広く知ってもらい、連携して学校をよくしたい。学校の負担になっている業務をそのまま保護者にパスするということではなく、新しい形を一緒に探したい」

―なり手不足についてはどう考えているか。

 「以前はとても人気のある職種だった。本来は憧れられる仕事だということだろう。今は教員の余裕のなさが子どもたちにも伝わってしまっている。教員が本来のやりがいを感じることができれば、それもまた、子どもに感じ取ってもらえるはずだ。業務改善は、なり手不足解消の一手にもなる」

(聞き手・嘉数陽)

 きもと・くにひろ 県教職員組合(沖教組)中央執行委員長。京都教育大学卒。1992年、久米島小学校に臨時教員として勤務し、翌年採用された。那覇市や八重山地区を中心に約30年小学校教員を務めた。沖教組那覇支部執行委員なども務めた。兵庫県出身。
 


 シンポジウム「教員不足 打開への一歩」は21日午後2時から、那覇市泉崎の琉球新報ホールで開催する。予約不要、直接会場へ。資料代500円。

 基調講演は佐久間亜紀氏(慶應義塾大学教職課程センター教授)。パネル討論は佐久間氏のほか、浜田京介氏(中城村長)、上江洲寿氏(県教育庁働き方改革推進課長)、木本邦広氏(沖教組中央執行委員長)、宮﨑豊氏(恩納小学校PTA会長)が登壇する。

 問い合わせは琉球新報暮らし報道グループ、電話098(865)5158、メールkyoiku@ryukyushimpo.co.jp。