値上げ、水道も?沖縄県企業局が「卸値」値上げを検討 28市町村の料金に影響も


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2023年度水道事業連絡会議で説明する松田了県企業局長(右から2人目)=19日、うるま市の石川浄水場

 【うるま】沖縄県企業局は、電気料金や建築資材の値上がりで経営状況が悪化しているとして、市町村へ供給する水道単価を値上げする方向で検討している。受水する28市町村の担当者らと19日、うるま市の石川浄水場で2023年度水道事業連絡会議を開き、見解を示した。同局の値上げの時期や幅は未定だが、水道料金に影響する可能性がある。

 県企業局は28市町村に水を卸し、市町村は受水費を支払っている。水の供給単価は1993年から現在まで、1立方メートル当たり102円24銭(税抜き)。この間、消費増税に伴う増税分の値上げはあったが、供給単価の税抜き価格の変動はなかった。

 一方で同局によると、経営状況の悪化に伴い供給単価そのものの価格改定を迫られているという。住民が支払う水道料金は各市町村で定められており、それぞれの水道事業の経営状況によっては値上げもあり得る。

 県企業局によると、経営状況の悪化の背景にはロシアによるウクライナ侵攻後の電力や資材の価格高騰がある。水道局は有機フッ素化合物(PFAS)汚染に伴い、中部地域の一部水源から取水を停止し、北部の福地ダムなどから中南部に水を供給している。その際に複数の水道施設を経由する必要があり、増圧ポンプを多く稼働させている。結果として、電気代(動力費)が必要となる。

 さらに、老朽化した施設の修繕や更新に伴う減価償却費などの費用も増加している。給水収益はほぼ横ばいの状況が続いていおり、経営状況は苦しい状態が続いているという。

 県企業局はこのほか、北谷浄水場が使用する水源のPFAS検出状況や、各ダムの貯水量などを説明した。

(名嘉一心)