戦跡巡り悲惨さ実感 首里城周辺で平和学習


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第32軍壕について説明を受ける平和学習フィールドワークの参加者ら=21日、那覇市の首里城公園

 県平和祈念資料館友の会は21日、那覇市の首里城周辺の戦跡壕を巡る平和学習フィールドワークを開いた。市民ら約100人が参加。日本軍が司令部のあった首里から南部への撤退を決めてから22日で78年を迎えることから、当時に思いをはせながら戦争のむごたらしさを改めて実感した。

 城西小の敷地内に残る第32軍司令部壕の第2、3坑口では、同壕の保存・公開を求める会の前城直美事務局次長が解説。牛島満司令官らが、この壕内で作戦を指揮していたとし「(1945年)5月22日にここで降参していたら、南部での住民の大きな犠牲はなかった」と指摘した。沖縄戦の記憶の継承が課題となる中、フィールドワークには若者の姿も見られた。

 宜野座村在住の藤井遥香さん(33)は、沖縄戦について深く知りたいという思いから、今年1月に京都から移住した。「中学の修学旅行で訪れた首里城は観光地のイメージだった」とし、「教科書には沖縄戦の記述が少ない。首里城には(琉球王朝と沖縄戦の)二つの歴史があることを子どもたちに教えてほしい」と思いを語った。 (小波津智也)