沖縄での影響が大きい?「土地利用規制法」ってどんな法律?<ニュースはじめの一歩>


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抗議声明を発表する「土地規制法対策沖縄弁護団」の加藤裕団長(中央)ら=17日、県庁

 Q: 土地を売ったり、買ったりすることについて制限がかけられる法律ができたと聞きました。特に沖縄での影響が大きいという声もありますが、どういうことですか?

 A: 土地利用規制法のことですね。自衛隊や海上保安庁など安全保障上重要な施設の周辺約1キロや国境離島を対象に、土地・建物の利用を規制する法律です。

 安全保障のために大切な施設や区域にある土地や建物が仮に海外の人に買われたとします。外国の関係者の所有となった場合、近くにある自衛隊施設などの運用を妨げるために土地が使われるかもしれません。

 こうした事態を防ぐため政府が提出した法案で、2021年に成立しました。22年9月に全面施行され、沖縄県内を含め、対象となる土地の指定が進められています。

 区域内にある土地・建物の所有者名や住所、国籍について、登記簿などの収集や調査員が利用実態を調査するとされています。より重要とされる土地では、売買などがあった場合、届け出ねばならず、うそがあると、刑罰の対象にもなります。

 所有者の権利を侵害してしまうことや、基地周辺での市民運動の萎縮につながるとの懸念があります。尾行や集会参加の監視などがなされる可能性も指摘されています。政府は「デモや集会を制限するものではない」としていますが、罰則の対象にもなる行為の定義は、今後も見直していくことができるとされ、国側の裁量が大きくなっています。国境には接していない離島の土地を中国人が購入したことを受け、自民党の国会議員の間には法律の対象を広げるべきだとの意見もあります。