FC琉球、競り勝つ 柳が勝ち越し弾、綱渡りの辛勝 天皇杯1回戦 三菱水島に2-1


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FC琉球―三菱水島FC 前半、相手を交わしながらボールをキープする琉球の柳貴博(左)=21日、沖縄市のタピック県総ひやごんスタジアム(小川昌宏撮影)

 サッカーの第103回天皇杯全日本選手権(日本サッカー協会、Jリーグ主催、共同通信社、NHK共催)は21日、各地で1回戦が行われた。FC琉球は沖縄市のタピック県総ひやごんスタジアムで三菱自動車水島FC(岡山代表)と対戦し2―1で勝利、2回戦に駒を進めた。前半序盤は琉球が主導権を握り、12分にケルヴィンが先制点。しかし、33分に右クロスを頭で押し込まれて少ないチャンスから同点に追い付かれ、1―1の同点で折り返した。後半は互いに得点チャンスがあり、緊迫した状況が続いたが36分、流れてきた高いこぼれ球を柳貴博がジュストミートで蹴り込んで逆転に成功した。試合は喜名哲裕スポーツダイレクター補佐が指揮を執った。天皇杯2回戦は6月21日午後7時から、熊本県のえがお健康スタジアムでJ2のロアッソ熊本と対戦する。

 J3で思うように結果が出せず、リーグ3連敗中の琉球にとって何よりも特効薬となる勝利を手にしたが綱渡りをするような辛勝だった。

 社会人クラブを相手に1―1で折り返し、重たい空気は2点目を奪う後半36分まで続いた。後半から投入された野田隆之介主将が中盤の平松昇とワンツーパスでリズムをつくり流れが変わった。

 2点目はそれまでと見違えるような前へと押し進めるパスワークから生まれた。左クロスから最後は逆サイドへとこぼれてきた高く浮いた球を柳貴博が精度の高いシュートで捉え、会場のサポーターを安心させる勝ち越し弾を気持ち良くたたき込んだ。ボールに絡んだ平松は「前半は攻めあぐねたが、後半は一人一人が動いてスペースをつくり出すことができた」とうなずいた。

 2カ月ぶりにけがから復帰した牟田雄祐は「ピッチに立ってチームを助けられず、苦しくもどかしい時期だった。チームが苦しい時こそ、互いを信頼し合って支え合い、前に進んでいくことが人として大事な部分」とリーグ戦での挽回を誓った。
 (大城三太)


琉球(沖縄)
2―1(1―1,1―0)
三菱自動車水島(岡山)
▽得点者【琉】ケルヴィン、柳【三】宮沢

 【評】失点の場面は守備の体制が整わないうちに早めのクロスを放り込まれた。中央での対人の弱さが課題で強度が求められる。チームはボールキープに固執し過ぎるあまり、DF陣へと下げる場面が目立ち、前線へはロングボール狙いの単調な攻めが多かった。

勝てたこと評価

 喜名哲裕監督(琉球)の話 勝てたことは評価できるが、特に守備でやるべきことはたくさんある。前半はスペースをつくる動き、使っていく動きがなかったので、みんなで共有していこうとハーフタイムで伝えた。リーグ戦に向けて頭の中を切り替えていく。

相手がレベル上

 山下聡也監督(三菱水島)の話 身体的な部分や質では相手の方がレベルが上だった。個人対個人で結果を出すのは難しいが、チーム全体の守備ではある程度、こちらが考えていたことができた。勝ちに来たので悔いは残っている。