自衛隊、民間空港・港湾活用を目指す 防衛白書案に明記、米海兵沿岸連隊の改編も


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PAC3の先島展開に関連し、C2輸送機で与那国島に運ばれる自衛隊の大型車両=4月26日、与那国空港

 【東京】防衛省が23日までにまとめた防衛白書の素案に、2025年までに米軍がキャンプ・ハンセンの部隊を海兵沿岸連隊(MLR)に改編することや自衛隊の増強など沖縄に関連する記述も盛り込まれていることが24日分かった。自衛隊が既存の民間空港・港湾を活動基盤として使用できる環境づくりを目指す方針も明記する。4月に宮古島市沖で発生した陸上自衛隊ヘリコプター事故も書き込む。

 在日米軍関連の項目ではMLRの他、第3海兵師団司令部の残留も盛り込む。一方で「沖縄の一層の負担軽減」も記載する。その方策としては、統合計画に基づく基地返還やオスプレイの訓練移転を目指すなど従来の範囲にとどまる見込み。

 中国が22年8月の演習で波照間島や与那国島周辺の排他的経済水域(EEZ)に弾道ミサイルを落下させた問題にも触れる。22年末に策定した新たな安全保障関連3文書と同様に「地域住民に脅威と受け止められた」と記述する予定。

 南西諸島の防衛体制強化として23年3月の陸自石垣駐屯地開設を紹介する。医療体制について「第一線から最終後送先までのシームレスな医療・後送態勢強化」も書き込む予定。県内で医療拠点を開設して運営する訓練を実施しており、沖縄など南西諸島が念頭にあるとみられる。島しょ防衛に関する訓練など、さまざまな自衛隊統合演習や日米統合演習を実施する必要性も掲げる。

 防衛力増強に向けてミサイルなどの弾薬増量や重要な司令部地下化、構造強化などを加速させる方針も盛り込む。「地域社会や環境との共生」に取り組むとして、22年末に初めて宮古島でブルーインパルス飛行展示を実施したことなどを紹介する予定。白書は7月中に閣議に報告される見通し。
 (明真南斗)