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「島サウナでととのえて」 宿泊施設を経営の岡本さん 自身の心もととのえる 沖縄・うるま、浜比嘉島


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「島サウナでととのえて」と笑顔で話す岡本大地さん=4月28日、うるま市の浜比嘉島

 【うるま】「島サウナでととのえて」―。セクシャルマイノリティー当事者で、カミングアウトをきっかけに「心をととのえること」に興味を抱いた、サウナ・スパ健康アドバイザーの資格を持つ岡本大地さん(37)=京都府出身=が、沖縄県うるま市の浜比嘉島でこれまでの経験を基に「島サウナ」を満喫できる宿泊施設を開業している。朝日と星空が有名な浜比嘉島で、鳥の声や風など「島の気候を感じながら、心身共にととのってほしい」と岡本さんは語る。

 2022年1月、浜比嘉島でテントサウナ付き一棟貸しの宿泊施設「totono house吉本家」を開いた。SNSの発信にも力を入れ、県内外からサウナ好きが集まる。最後に井戸水で体を清める「みそぎ」も人気だ。宿泊施設は有形文化財の「吉本家」跡地に建てた住居を利用しており、周辺環境などの趣を感じることができる。

こだわりのテントサウナを楽しむ利用客=4月28日、うるま市の浜比嘉島

 サウナ用語として広まった「ととのう」だが、岡本さんは人の内面や精神について勉強している時に知った。約5年前に自身のセクシャリティーをカミングアウトした。「うそ偽りのない自分になって、生きやすく幸せになった」と振り返る。内面と向き合い自分を深掘りする「心をととのえる」重要性を体感していた。

 しかし内面を見つめ直すことは簡単でない上、「日本には周囲を気にしすぎる文化がある」と話す。難しさを実感する中で出合ったのがサウナだ。体と同時に心が穏やかになる経験をした。「どんな背景を持っていても体の仕組みは同じ。心をととのえるきっかけになる」と気付いた。以来、サウナにはまっていった。

 県出身で不動産業の知人の紹介で開業した。プライベートな空間のため、どんな人でも安心して入れる。島の自然を感じる朝サウナ、夜サウナがお勧めだという。サウナの中はゲットウの葉で香り付けをしたり、島の塩を用意したりするなど、こだわりも詰まっている。 

(金盛文香)