北部基幹病院、世界に誇れる病院に 増田健太・北部報道グループ <ゆんたくあっちゃ~>


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written by 増田健太(北部報道グループ)

 東海岸を見下ろす宜野座村松田では県立農業大学校の移転のための工事が進んでいる。住宅地に囲まれた名護市大北の現校舎跡にできるのが、北部基幹病院(公立沖縄北部医療センター)だ。県立北部病院と北部地区医師会病院が統合する形で、2028年の開院を予定する。県と12市町村でつくる運営主体・北部医療組合が名護市内に事務所を開設し、地域住民の高い期待に応えるべく作業を進めている。

 名護市民である私は先日、息子の入院のため北部病院にお世話になった。乳児の発熱を観察するために、優秀な医師・看護師をはじめ保育士、看護クラークという聞き慣れない職種の方々のほかさまざまなスタッフが支えてくれて、退院までの数日間、親として安心して付き添いに臨むことができた。

 ところが新病院の課題の一つが、その職員の確保なのだという。統合される両病院の職員が働き続けるためには、新病院への転籍が必要になる。しかし整備協議会の意向調査で転籍を考えると答えた職員は、回答者のうち39.7%にとどまった(22年全県立病院含む正職員4140人対象、回答率27.9%)。出身地の中南部に戻りたい、という趣旨の回答もあったが、観光地や離島をも支え、両病院の理念を引き継ぐ北部基幹病院は世界に誇れる医療機関になると思う。一人でも多くの人に残ってほしい。

(名護市、本部町、今帰仁村)


ゆんたくあっちゃー 県内各地を駆け回る地方記者。取材を通して日々感じることや裏話などを紹介する。