台風2号、石垣で離島フェリーが全便欠航 ゆっくり北上、長引く影響 観光、島民生活に大きな痛手


この記事を書いた人 琉球新報社
人気観光地の渡口の浜で、護岸を乗り越える白波=30日午後3時ごろ、宮古島市伊良部

 【八重山・宮古島】沖縄の南からゆっくりと北上する台風2号が、八重山、宮古島地方の観光業を直撃している。30日、石垣市では周辺離島に往来するフェリーが全便欠航し、新型コロナ明けで回復しつつあった観光需要は一時ストップ。観光業者は「痛手だ」と嘆き、観光客も「計画が全て狂った」と落胆した。

 普段は竹富島、波照間島など周辺の島々へ往来するフェリーに乗船する観光客でにぎわいを見せる、石垣市のユーグレナ石垣港離島ターミナルは30日、閑散としていた。

台風2号の影響で、フェリーが全便欠航となり閑散とした港の待合所=30日、石垣市美崎町のユーグレナ石垣港離島ターミナル

 八重山観光フェリーの担当者は売り上げ面への影響について「大きい」と声を落とす。フェリーは観光面だけでなく竹富町民らの重要な移動手段にもなっている。「住民は大変だと思う。早く再開できればいいのだが」と台風が早期に過ぎ去るのを願った。安栄観光の担当者も台風の影響は「痛手」とした上で、「自然のことなので仕方ない」と切り替え、事務所に向かった。

 29日に山口県から初めて石垣島に観光で来たという60代の夫婦は「まさかこんなに停滞するとは」と長期化する台風の影響に驚いた。小浜島や西表島に行く予定だったが「全て狂った」と肩を落とした。

 宮古島市を訪れた観光客も戸惑いの声を上げる。普段、観光客でにぎわいを見せる市伊良部の中の島ビーチに人影はなかった。ビーチを遠目からカメラで撮影していた男性(50)=群馬県=は「予定していたダイビングなどのツアーは全てキャンセルになった。31日に石垣島に移動する予定だが、ホテルで過ごすことになりそうだ」と天を仰いだ。

 市伊良部の渡口の浜では打ちつけた白波が護岸を超えた。白波をスマートフォンで撮影していた男性(35)=東京都=は「もともと今日帰る予定だったので、日程の変更をしないで済んだ。雨は少ないが、雨が降れば観光できなくなるので、最悪だ」と語った。
 (照屋大哲、友寄開)