外間守善特別賞に川平成雄氏 戦後沖縄の社会経済史を研究 正賞は該当なし


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川平成雄さん

 沖縄文化協会(仲原穣会長)は31日、優れた沖縄研究の著書に贈る第2回外間守善賞の記者会見を浦添市内で開き、正賞の該当作はなかったと発表した。特別賞には、昨年亡くなった川平成雄(なりお)元琉球大教授の「戦後沖縄生活史事典 1945―1972」をはじめとする戦後沖縄社会経済史に関する研究が選ばれた。

 川平さんは1949年生まれ、与那国町出身。2011~15年に「沖縄 空白の一年 1945―1946」「沖縄 占領下を生き抜く 軍用地・通貨・毒ガス」「沖縄返還と通貨パニック」の3部作を刊行し、庶民生活に直結する問題について分析した。

 晩年はがんと闘いながら、松田賀孝さん、新木順子さんとの共編で「戦後沖縄生活史事典」の完成に心血を注ぎ、校正を終えて昨年7月に亡くなった。川平さんの死後、同事典は発刊された。

 妻の栄子さん(65)は受賞について「お世話になった外間先生の特別賞を頂き、夫も喜んでいると思う。仏壇に報告したい」と話した。授賞式は6月24日、沖縄国際大で催される。

 正賞は2021~22年に出版された、おおむね60歳までの沖縄文化協会会員の著書が選考対象だった。同協会の波照間永吉前会長は「正賞が出ず残念だが、次回奮起してほしい」と期待した。
 (伊佐尚記)