ビニールハウス壊れ、作物に被害 台風2号、最盛期に直撃、農家「収穫まで何回来るか…」 沖縄各地で爪痕


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
台風2号の影響で屋根がはがれたビニールハウス=2日午後4時38分、八重瀬町玻名城(小川昌宏撮影)

 台風2号は重傷者1人を含むけが人11人を出し、農作物や農業施設に被害をもたらすなど、県内各地に爪痕を残した。39市町村が避難所を設置して少なくとも143人が避難し、最大で約3770世帯が停電するなど生活への影響も大きかった。一方、少雨で農業への悪影響が懸念されていた南北大東村では“恵みの雨”となった。

 東村でパインやオクラなどを栽培する東物産の畑では、収穫が最盛期を迎えているオクラの枝の一部が強風で倒れた。従業員の比嘉昌樹さん(53)によると、この時期の収穫量は1日80キロから100キロほどあるが、今後1週間程度は多くても40キロほどに落ち込みそうだという。それでも「村内の畑では被害が軽い方だ」と話した。台風接近で、収穫を早めたり複数の枝をひもで縛ったりするなどの対策を取った。比嘉さんは「台風が予想以上に早く来た。今後は早めの対策をしていくが限度はある」と頭を抱えた。

 宮古島市や多良間村の調査では、ゴーヤーやトウガン、オクラで計約2400万円(速報値)の被害が出ている。市の関係者は「傷ついた野菜の被害額を算出したが、成長とともに傷が治れば被害額が減る見込みもある」と話す。多良間村ではサトウキビで約192万円(同)の被害が出た。

 豊見城市保栄茂にあるハウスでマンゴーを育てる男性(69)は「一つのハウスのビニールが全て駄目になった。もう一つのハウスも4分の1は破けた」と話す。ハウス内のマンゴーは一部が色付いてきており「風が止んだらすぐビニールを張り直す。収穫まで台風が何回来るか心配だ」とため息をついた。

 宜野座村のマンゴー農家、久志一さん(45)はビニールハウスの防風ネットを二重にするなどの対策を取り、果実が落ちる被害はなかった。しかし「塩害が心配だ。塩をしっかり洗い流さないとマンゴーが病気になってしまう」と語った。

 八重瀬町のゴーヤー農家の男性も、ビニールハウスが一部吹き飛び「こんなに強い風とは思わなかった」と漏らした。

 糸満市内でもオクラ農家約40軒で収穫前の実が風にあおられて擦れ黒く変色する被害があった。キュウリやゴーヤーの実が傷付いたり枝が折れたりする被害も同市内でそれぞれ約30件あった。
 (岩崎みどりまとめ)