有事の際、「基地 攻撃対象に」83% 辺野古「負担減ならぬ」72% 研究Gが沖縄県民調査 若年層、安保強化望む傾向


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 県内の軍事基地について、有事の際には攻撃対象になると考える県民が83%に上ることが、熊本博之・明星大教授らの研究グループによる世論調査で5日までに明らかになった。名護市辺野古への新基地建設についても72%が「沖縄の基地負担の軽減にならない」としており、「唯一の解決策」とする政府の認識と隔たりがある。一方で、若年層ほど安全保障環境の強化を望む傾向が見られ、世代間の認識の違いも浮き彫りとなっている。

 2022年9月の県知事選以降に「政治参加と沖縄に関する世論調査」と題し実施。同年末までに名護市や石垣市、宮古島市を含む県内14市町村から1053人が回答した。

 調査では、県内の軍事基地が攻撃対象にされる懸念について、「そう思う」が55%と最も高く、「ややそう思う」が28%で続いた。新基地建設の是非についても、賛同が29%に対し反対が46%と上回る。19年に是非を問うた県民投票や、昨年9月の県知事選の結果で示された県民の意思が改めて示された格好だ。

 ただ、若い世代の意識の傾向をみると、日米安保体制の強化については18~34歳の49%が希望しており、35~49歳が43%と続く。自衛隊の強化についても18~34歳と35~49歳が47%と並んで最も高い割合を示した。それぞれの設問に対し回答者の年齢が高くなると、強化を求める声は減っている。

 34歳以下では、基地に反対する市民団体への否定的評価が42%おり、国防政策は「政府に決定権がある」として基地反対運動は無意味と捉える人は55%だった。熊本教授は「日本復帰50年、県知事選のタイミングで調査することで、基地問題や政治に対する意識が読み取れるのではないかと思った」と調査を実施した理由を説明した。

 「政治参加と沖縄に関する世論調査」は、県内14市町村の18歳~80歳を対象に3800人に郵送で実施し、1053人が回答した(転居先不明を除いた回収率は28.8%)。男女の内訳は、男性45%、女性52%。回答者の年齢構成は、18~34歳が15%、35~49歳が22%、50~64歳が32%、65歳以上が31%だった。
 (小波津智也)