照屋勇賢さん作品、大英博物館に収蔵 紅型で表現した現代アート「結い、YOU―I」


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この記事を書いた人 琉球新報社
大英博物館に収蔵された照屋勇賢さんの作品「結い、You―I」2022年、紅型(芭蕉布・顔料)振袖仕立、169×148センチ(照屋さん提供)
照屋勇賢さん(2022年撮影)

 南風原町出身の美術家、照屋勇賢さん(ドイツ・ベルリン在住)の紅型を用いた作品「結い、YOU―I」が5月31日、イギリスの大英博物館に収蔵された。同博物館はこれまで平良敏子さんの芭蕉布などを収蔵しているが、紅型は初めて。今回収蔵されたのは、紅型の美しさと基地問題という現代の課題を結び付けた作品だ。照屋さんは「今回の作品収集は沖縄の人たちの平和、人権、民主主義実践のトライアンドエラーと、諦めず頑張ってきた積み重ねの上に決まった」と喜んだ。

 作品は芭蕉布に紅型で描かれ、伝統的な柄を再構成してオスプレイや兵士などを描いている。芭蕉布は浅井由美子さん(大宜味村)、紅型染めは金城宏次さん(沖縄市、宏次染工房)が手掛けた。

 金城さんは20年以上、照屋さんと紅型作品を共同制作している。「紅型に反戦などのメッセージを込めることについて沖縄の工房では理解されなかったが、自分はコザンチュで抵抗はなかった。若い人たちが紅型で自由な表現をするきっかけにもなると思う」と喜んだ。

 大英博物館の学芸員は照屋さんについて「民主主義、アイデンティティー、軍事力、植民地主義、移民に関する現在の言説に応えるユニークな作品を制作する革新的なアーティスト」とコメントしている。
 (伊佐尚記、上原修)