沖縄の高校生、困窮家庭が26.3%に急増 コロナ影響 低所得層ほど世帯収入の減少幅が大きく<2022年度沖縄子ども調査>


この記事を書いた人 琉球新報社
沖縄子ども調査結果を発表する玉城デニー知事=8日午前、県庁(大城直也撮影)

 県は8日、県内の公立高校59校の2年生とその保護者を対象に実施した2022年度沖縄子ども調査の結果を公表した。前回2019年度の調査と比べ、困窮層の割合が20.4%から26.3%へと5.9ポイント上昇し、経済的な厳しさに直面する世帯が増えた。背景として、コロナ禍による世帯収入減や就労環境の悪化が影響したとみられる。

 同日午前の定例会見で調査結果を発表した玉城デニー知事は、「貧困対策の基金を活用し、子どものライフステージに応じた支援策を丁寧に掘り下げる。今回は貧困とヤングケアラー問題の重なりも見えてきたので、しっかり検討を重ねていく」と話した。

今回はヤングケアラーの問題と困窮度の関連を分析しており、低所得層の生徒ほど、きょうだいの世話や家族の介護・看病する時間が長く、抑うつ傾向も高かった。低所得層の保護者自身も抑うつ傾向が高いなどの諸問題を抱えており、調査ではヤングケアラーと貧困が重なる時、「子どもの権利」が大きく侵害される可能性があるとした。

調査は世帯の収入や人数から等価可処分所得を算出し、19年の国民生活基礎調査を基にした貧困線127万円を軸に3分類した。その結果、最も低い低所得層Ⅰ(127万円未満)は26.3%、同調査の中間を下回る低所得層Ⅱ(127~190.5万円未満)は25.1%、一般層(190.5万円以上)は48.6%だった。

ひとり親世帯では低所得層ⅠとⅡの合計は84.4%となり、厳しい経済状況にあることも浮き彫りとなった。ふたり親では計41.6%だった。

新型コロナウイルスの感染拡大の影響も大きく、低所得層ほど世帯収入の減少幅は大きくなっている。

調査は2022年11月14~28日に、県立高校2年の生徒(通信課程と22歳以上を除く)と、保護者に計6420件の調査表を配布。有効回答数は生徒3373件(有効回答率52.5%)、保護者3254件(50.7%)、親子そろって回答したのは3189件(49.7%)だった。
(嘉陽拓也)