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「真実は一つ」と潔白主張 那覇議長室での5千万受け渡し問題 所有権回復を委ねた女性が経緯語る


この記事を書いた人 琉球新報社
議長室での問題を振り返る土地所有権の回復を求める女性=那覇市内

那覇市有地の所有権を巡り、不動産コンサルタント会社代表の男性らから同市議会前議長の久高友弘氏らに議長室で現金5千万円の受け渡しがあった問題で、久高氏に土地の所有権回復を委任し、議長室にも同席した70代女性=同市=が8日までに琉球新報の取材に応じた。女性は「祖父の生きた証しを残したいと所有権回復を求めてきた。こんな事態になるなんて」と困惑した表情を浮かべた。「真実は一つ。(関係者は)本当のことを言ってほしい」と語気を強めた。

女性は、那覇市上之屋の旧泊浄水場関連用地の所有権回復を求める90代の義母の後見人。戦後の混乱期に、義母の父が所有する土地が市有地に変わったと訴えている。一部の土地については、市に訴訟を提起したが敗訴した。女性は久高氏に信頼を寄せ、所有権回復に向けた活動を全面的に委任している。

議長室で5千万円の授受があった2021年2月8日。女性によると、就業時間を過ぎ、職員の姿もなくなった議長室に、不動産コンサルタント会社代表の男性ら関係者が訪れ、テーブルを囲んだ。「議長室に集合し、別の場所へ移るのだろう」と思った矢先、関係者の1人が紙袋から1千万円ごとにビニールで包まれた現金5束をおもむろに取り出し、机に並べた。戸惑ったが、所有権回復後の土地売買の手付金として、用意してきたかばんに現金を詰めた。今後に向けた話し合いなどはなく、男性らが用意した領収書に久高氏と連名でサインした。会社代表らはすぐに立ち去り、女性も周囲に気を配りながら、かばんを抱え持ち帰ったという。

現金は土地の権利関連資料の買い戻しに3千万円、米国などでの調査費用として600万円、関係者への手数料500万円を支払い「残りは数百万円だ」と明かす。この数百万円は今後、再審請求や訴訟費用に回すとしていて、この資金から、久高氏に金銭は渡っていないと強調する。現金受領後、会社代表の男性らと齟齬があり、関係性が悪化。買い戻した関連資料が男性側に渡った。女性は「詐欺のような手口で奪い取られた」と怒りをあらわにする。

一連の騒動で精神的にも消耗したという女性。それでも「祖父の生きた痕跡を確かめるためにも、騒ぎを終息させ、活動を進めたい」と話した。