【記者解説】貧困とヤングケアラー複雑に 「非課税世帯」基準に疑問の声も


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 3度目となる沖縄子ども調査「高校生調査報告書」では、初めて貧困とヤングケアラー問題の関連性を数値化した。

 低所得層の子どもほど家族のケア時間が長く、ケアの時間に比例して抑うつ傾向が高い。また、低所得層ほど保護者の抑うつ傾向も高い。貧困問題には家族のメンタルヘルスやヤングケアラーなど問題が複雑に絡み合っているため、調査した識者は世帯ごとに支援を組み立てるコーディネーターの配置などを求めている。

 経年比較できる本調査ではコロナ禍における行政の特例給付金や民間団体による食料支援が、生活物資の欠如を緩和した結果も明らかにした。調査結果に表れない課題として見えてきたのは、自由記述で訴えが相次いだ「非課税世帯」の認定基準だ。

 該当すると低所得世帯向けの支援を受けられるが、所得制限を超えると対象外となり困窮度が増す恐れがある。実際に、勤務日数を調整して所得を抑える保護者もいる。

 識者が指摘するように、就労が生活安定につながるためにも、支援対象に所得制限や世帯類型の壁を取り払った制度が必要だ。
 (嘉陽拓也)