“団結の力”頂点への原動力 ブースターの声援を支えに <キングスBリーグ初制覇・最強の証明>6


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スタンドを埋めて声援を送るキングスのブースターたち=2023年5月28日、横浜市の横浜アリーナ(小川昌宏撮影)

 チャンピオンシップ(CS)ファイナル(決勝)を2連勝し、悲願の初優勝をつかみ取った琉球ゴールデンキングス。その選手たちを支えたのがブースターの存在だった。勝てば優勝が決まる決勝の第2戦、第4クオーター(Q)の終盤にキングスが点差をつけると、ブースターの歓声も熱を帯び始める。試合終了を知らせるブザーが響くと、ブースター同士で抱き合い、涙を流し、チームと一緒に初の頂点を喜んだ。

 キングスがbjリーグに参加した2007―08シーズン、チームは地区の最下位に沈み、1試合平均の入場者数は約1700人と10チーム中8位だった。初優勝を決めた08―09シーズンに約2300人となり、以降も順調に人数を伸ばし続けた。ほかのチームが2000人をなかなか超えない中、キングスは12―13シーズンに3千人超えるなど、bjリーグ屈指の観客が集まるチームとなった。

 16―17シーズンからはBリーグに活躍の場を移したキングス。新型コロナウイルスの感染拡大で、無観客試合や人数制限があった影響もあり、観客数が大きく減ったシーズンもあった。しかし、現在のホームである沖縄アリーナが本格的に運用し、新型コロナの行動規制が緩和されると、観客も戻り始めた。

 今季はBリーグ史上初となるシーズン来場者数20万人も達成。CSセミファイナル第2戦で沖縄アリーナ開催試合で最多観客数となる8619人も記録した。今季レギュラーシーズンの平均入場者数もBリーグ最多の6823人となり、Bリーグの表彰式で「入場者数No.1クラブ」を初受賞した。今季のホームの成績は26勝4敗と、優勝を争った千葉ジェッツとともにリーグ1位の勝率を示すなど、応援の力が勝利につながっていることを数字でも示した形となった。

 今季CS決勝では、第1戦、第2戦ともに観客が1万人を超えた。千葉Jのブースターが赤色、キングスのブースターが白や金色を身につけて、それぞれのチームカラーで染めた。沖縄から駆けつけた人は第1戦、第2戦ともに1800人を超えた。

 会場では「キラキラ隊」と呼ばれるボランティアのブースターが、金色のテープをいすに置いている。相手フリースローの時のブーイングで使うなど、キングスの応援に色を添えている。攻撃時には「GO!GO!キングス」、守備の時には「ディフェンス」のかけ声で選手を鼓舞する。自発的に始まるかけ声は、終盤に音楽が止まった後もタイミングは合っていた。相手フリースロー時に当初やっていたブーイングも、試合途中から「GO!GO!キングス」に変わるなど、試合状況に合わせて応援のスタイルが変化することも、キングスのブースターの特徴かもしれない。

 試合後、選手の口からはブースター、県民への感謝の言葉が止まらなかった。桶谷大HCの言葉がすべてを物語る。「正直、試合中はキングスの声援しか聞こえなかった。キングスのブースターが横浜アリーナを沖縄アリーナに変えて、僕たちがバスケットをしやすいようにしてくれた。キングスのブースターさんが喜んでくれる光景を見て、日本一のブースターだと思っていたキングスのブースターさんを、やっと日本一にさせてあげられた」。ブースターとの“団結の力”が初の頂点への原動力だったことは間違いない。

(屋嘉部長将)
(敬称略)