昭和高女の設立者・八巻太一の功績知って 戦前・戦中、沖縄で女子教育尽力 7月に山梨で交流音楽公演 


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八巻太一

 戦前・戦中に沖縄で女子教育に尽力した八巻(やまき)太一と、八巻と同じ時代を生きた音楽家の宮良長包の功績を振り返り、八巻の出身地・山梨県北杜(ほくと)市と沖縄の交流を深めるコンサートが7月16日、北杜市で開催される。

 企画したのは、八巻が戦前那覇市泊に設立した私立沖縄昭和女学校(後に昭和高等女学校)の元生徒、上原はつ子さん(94)の長男謙さん(74)。クラリネット奏者の謙さん自身も出演予定で「2人の教育者の功績を多くの人に知ってもらいたい」と意気込む。

 八巻は33歳で沖縄に渡り、読谷尋常高等小学校、名護尋常高等小学校などで教えた後、1930年に私財を投じて昭和高女を設立。タイプライターやそろばんなどを教え、女子実業教育に尽力した。

 沖縄戦により、昭和高女では学徒動員の9人を含む生徒57人、職員3人の計60人が犠牲になった。戦争で校舎は焼け、学校は廃校。八巻は再建を目指したものの実現せず、52年に亡くなった。

上原謙さん

 謙さんは、はつ子さんの話などで八巻の功績を知り「男子も学校に通うのが難しい時代に、女子教育に目を向けた。まだ男女格差はあるが、八巻のような人がいたから女子教育も進んだ」とたたえる。

 ことしは宮良長包の生誕140年。コンサートでは名曲・首里古城のほか、宮良が旋律のみを残していた南島唱歌に伴奏を付けて披露する。県出身のテノール歌手、平良栄一さんや、北杜市の合唱団も出演する。

 「沖縄と北杜を結ぶコンサート」は北杜市大泉地区文化協会主催。会場は長坂コミュニティーセンター。入場無料。問い合わせは電話090(8598)9885(斉藤)。

(稲福政俊)