陸自、事故ヘリと同型機の飛行再開方針を伝える 県と那覇市に説明 先行して6月中に那覇駐屯地上空を運航


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この記事を書いた人 琉球新報社
事故ヘリの同型機の運航を段階的に再開する方針を説明するため県庁を訪れる陸上自衛隊第15旅団幹部ら=16日、県庁

 宮古島市沖で発生した陸上自衛隊ヘリコプター事故を巡り、陸自第15旅団(那覇市)と沖縄防衛局は16日、那覇、宮古島の両市役所や県庁を訪れ、事故調査委員会の分析結果がまとまった後、段階的に同型機の訓練飛行を再開する方針を伝えた。陸自は搭乗員の技能維持のため那覇駐屯地の上空などに限って6月中に先行的に再開することを目指しているとも説明。具体的な時期は明示しなかった。

 市職員から報告を受けた知念覚市長は「具体的な再開がいつなのか、訓練地域がどの部分になるのか、事故原因などまだ分からない部分が多い。担当課にはもう一度(陸自に)確認するよう指示した」と述べた。陸自は今後、飛行範囲が市街地に及ぶ時には改めて説明に訪れるとも伝えた。

 宮古島市の嘉数登副市長は事故調査委の分析や再発防止策に関する国民への説明がないことに触れ「現段階での訓練再開を唐突に感じており、懸念がある」と伝えたという。また「一歩間違えば市民にも重大な被害が発生した可能性がある。原因究明がない状態での訓練再開は、現場の隊員にとっても不安ではないか」と話した。

 県基地対策課は「知事も含む三役に報告をして、対応があるかどうかは検討する」と述べた。知念市長は「那覇市として今後の状況や内容をみて対応を判断したい」と語った。

 説明に訪れた15旅団幹部は県民に対してのコメントを求める報道陣に対し「この場で説明できるものはない」とした。
 (吉田健一、友寄開、梅田正覚)