OIST発見のリュウキュウカレキゾウムシ、新種と確認 本島北部やんばると石垣島に生息


この記事を書いた人 琉球新報社
やんばる国立公園と石垣島の亜熱帯林で採集したリュウキュウカレキゾウムシが新種であることを突き止めたOISTのジェイク・H・ルイス博士(OIST提供)

 沖縄科学技術大学院大学(OIST)は16日、本島北部のやんばる国立公園と石垣島で見つかったリュウキュウカレキゾウムシが新種と確認されたと発表した。OIST研究チームに所属するカナダ出身のジェイク・H・ルイス博士(昆虫分類学)が顕微鏡分析と解剖を行い、九州やイギリス、ドイツなど複数の研究機関に問い合わせて明らかになった。研究結果は、同日発表の米国の昆虫学会誌に掲載された。

 カレキゾウムシ属には180種以上が属しているが、リュウキュウカレキゾウムシは、体長3.2~5ミリで琉球列島のみに生息する固有種。両肩に黄色いしまが入り、前翅に灰色、黒色、黄色の鱗片が生えており、顕微鏡では背中や脚に長い鱗毛があるなど、他のゾウムシと違いがある。ルイス博士によると、独特の特徴から東南アジアに生息する種の近縁と見られるが、確証を得るにはDNA解析が必要だという。

新種であることが確認されたリュウキュウカレキゾウムシ(写真左上)とその他沖縄に生息するカレキゾウムシ(OIST提供)

 OISTは2015年から本島各地で研究用の標本を集めるためにさまざまな昆虫を捕獲してきた。リュウキュウカレキゾウムシは、開発行為が規制されているやんばる国立公園の特別保護地区と保存状態の良い石垣島の亜熱帯林で捕獲されたため、ヤンバルクイナやなどのような、人為的な自然の変化に対してぜい弱な昆虫の一種と見ている。

 ルイス博士は「琉球列島にはここでしか見られない種がたくさん存在している。今回の発見に地元の研究者も関心を持つだろう」との談話を発表し、沖縄の生物多様性の研究の進展に期待を寄せた。
 (慶田城七瀬)