「必死に生き延びた人が今、戦争の怖さ教えてくれている」 坂田小の児童、沖縄戦学ぶ


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ニシバル歴史の会の石垣盛康会長による解説に聞き入る坂田小6年の児童=8日、西原の塔

 【西原】慰霊の日を前に坂田小学校6年の児童約150人が8日、西原町翁長の西原の塔や旧村役場壕を訪れて、激戦地となった町の沖縄戦について学んだ。児童は、塔や刻銘された犠牲者の名前を真剣なまなざしで見つめ、ニシバル歴史の会の解説に聞き入った。学習後、塔の前で平和セレモニーを開き、平和への思いを深めた。

 ニシバル歴史の会の石垣盛康会長は、町全体の沖縄戦の被害をはじめ、坂田小のある翁長では、当時の住民の62.8%にあたる556人が亡くなり、一家全滅した世帯の割合が38.2%と極めて高いことを説明して、戦争の悲惨さを伝えた。

 地元住民の戦没者約5千人の名前が、字名や年齢と共に刻まれた刻銘碑を前に「これが西原の戦争継承の特徴だ」と語り、住民の犠牲を忘れず、平和を願い続けることの大切さを訴えた。

 平和セレモニーで児童は塔に向かい「戦争を知らない私たちだが、沖縄戦について語り継ぎ伝えていかないといけない」「願う平和からつくる平和へ。命どぅ宝」と平和な世を継承する決意を力強く宣言した。「月桃の花」の斉唱や、千羽鶴の奉納も行った。

 青木梨葵(りあ)さん(11)は「沖縄戦を必死に生き延びた人たちが、今の私たちに戦争の怖さを教えてくれている。戦争を二度と起こさないために、自分でできることを考えて、行動していきたい」と語った。
 (藤村謙吾)